「辛抱強さ」にも柔らかさを

大安寺の境内に紫陽花が咲きました。

淡い色が美しく、見ていて癒されます。


全国各地に名所がある紫陽花ですが、その花言葉は意外にも良くない意味のものも多いようです。実際に調べてみると「移り気」「冷酷」「冷淡」「高慢」といった言葉が出てきます。もちろん良い意味の言葉も出てきます。それは「辛抱強さ」です。


紫陽花は咲くのは梅雨の時期です。梅雨はジメジメしていてそれだけでも辛抱強さが要求されるもの。それに加えて今年はコロナの流行により、さらなる辛抱強さが求められているようです。


しかし、ただただ辛抱強くあろうとすると自分を押し殺してしまったり、また時には感情が希薄になってしまうこともあります。辛抱強さは時には自分自身を苦しめます。そして自分が苦しくなっていると、身近にいる人に対してもきつく当たってしまうこともあるかもしれません。


ただただ耐え抜くだけでは、いつか自分の心が折れてしまいます。その影響は心だけでなく、身体の不調としても現れてきます。


禅で大事にされているのは心の柔らかさです。柔軟な心、柔軟心(にゅうなんしん)と言います。これは若竹にも例えられます。まっすぐ微動だにしない柱は大きな衝撃が来るとポキっと折れてしまいます。それに対して若竹は強い風が吹くと大きくしなって受け流し、また元のまっすぐな状態に戻っていきます。


自分は大丈夫だ、平気だと言い聞かせることも時としては必要でしょう。しかし、そういった中でも自分が今どう不安に感じ、どう乱れているのかを見つめることが心の柔らかさに繋がってくるのだと思います。



社会の動きと同じように、お寺もまだまだ平常運転とはいきません。紫陽花を眺めつつ、「柔らかい辛抱強さ」を養いながら日々を送っていきたいものです。

                                文責:久松彰彦

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